2010年1月9日土曜日

NHK大河ドラマ「龍馬伝」

NHKが大々的に宣伝をしていた今年の大河ドラマ「龍馬伝」を見た。

上級武士と下級武士の間の身分の差を軸に描いた第1回だが、恐らく主人公龍馬の心の軸となる原体験なのだろう。比較的丁寧にこのつらさを描いている印象を持った。同じ人間である、というのに片方は権力を誇示し、片方はののしられさげすまれる、という対立軸はいまも日常で味わうことだ。ドラマを見る場合には主人公の心情に肩入れしながらも、現実の生活で己はどうしているのか、と問いかけてくるものがあった。

主演の福山雅治。俳優として大きな挑戦の機会を得ているが、第1回では気負いは感じられずむしろ淡々と演じている感じだ。香川照之、寺島しのぶらが印象的な演技を見せている。理不尽なことで命を落とし涙する子供の心。身分格差を軸にこうした原体験をきちんと描いていて、福山雅治は抑えた演技で表現していた。

画面を揺らし、ドキュメンタリー風の演出をしている工夫は時に製作者側の意識過剰がドラマの中身を上回ってしまいがちな気がする。ただ明治という時代に乗り出す前夜の人々の「熱」や実話の持つ現実味、そして桂浜での姉弟の剣の打ち合いのラストシーンで描かれる心情が今回は演出意識を凌駕していた。次を期待させる第1話になったとみている。

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