2010年10月31日日曜日

土曜ワイド劇場「天使が消えていく」(賀来千香子主演)

台風が関東地方に接近したせいで、土曜日は外出をキャンセルした。仕事のことを考えず、何気なくテレビを見ると、土曜ワイド劇場。新聞広告も大きく出ていた夏樹静子原作の「天使が消えていく」。新聞記者が主人公で、地方に飛ばされ悶々としているという設定に惹かれた。主演は賀来千香子。

賀来千香子のドラマを見るのは久しぶりだな、と思う。以前「世界ウルルン滞在記」でバッグ作りを営む夫婦の家に行っていたのを見たが、人生経験を積んだある程度の年齢でのホームスティはなかなか良かった。贔屓目に見ているせいもあろうが、そういう真摯な姿勢を感じる女優のドラマ、という先入観を持って見た。

記事で書いた難病の子どもの母親は酒に酔い、生活も自暴自棄的。取材先との距離感はともかく、子どもの退院を喜ぶ主人公。来たくもない町で、子どもをあやすことに喜びを見いだしている。自堕落ふうな母親役を京野ことみが演じていたが、悪態をつき叫ぶ姿に成長を見た。まさに化けた印象。「あんたのやっていることは母親ごっこ!」と賀来をなじる修羅を表現していた。そして主役の賀来も職場で上司(一瞬分からなかったが五十嵐めぐみ、TBS連続小説「さかなちゃん」のヒロインでしたね)が「辞めたければやめなさい」の一言に「来たくて来てるんじゃないわよ!」と啖呵を切って感情を噴出させていた。東京で活躍してきた記者の、もしかしたら薄っぺらい「プライド」を持つ人間を持て余す職場の雰囲気が出ているシーンだった。

子どもにかかる手術代をどう捻出するのか。地上波デジタルのデータ放送であらすじに「母性とは何かを問いかける」と書かれていた。展開はスピーディで次が気になるドラマに仕上がっていたが、いかんせんコマーシャルを除けば2時間もないとなると粗削りになりかねない。主人公の女優の美しさ(目が大きいなあ、とか、おしゃれな服だなあ、足長いなあ)という面でカバー、といったところか。昨今の見る気が起きない子供向けドラマではない作りが好感を持てた。展開がご都合主義に進む面があっても、まあ許せるという内容だった。