2010年4月29日木曜日

NHK「ラジオ深夜便」と話のプロ

1日の疲れを癒す目的で、眠りにつくときにラジオをつける。聞くのは「ラジオ深夜便」だ。人生や海外の暮らしの話題に耳を傾ける目的だが、NHKのアナウンサーであっても話のプロが少なくなっていることを感じる。それはアナウンサー自身の自我や自己顕示欲と関係しているからかもしれない。黒子である前に、アナウンサーとしての「自分」が前面に出てくる感じ。これはニュース番組のキャスターにも感じられる。言葉を丁寧に話すよりも感情を優先し、時には安っぽく驚きはしゃいでみせたりする。話すロボットではなくそれが人間らしい伝え方だ、という考えなのだろう。

そうした風潮が画面から感じられ、だからこそベテランのアナウンサーが担当する「ラジオ深夜便」に期待するのだが、最近は若手も起用されるようになった。話す速度が一定でなく、スピードを上げたかと思うと急に立ち止まるように沈黙するアナウンサーがいる。気になりだすと妙にいらいらして落ち着かなくなる。音楽を特集するコーナーでは恐らく資料に書いてあるだろう、作詞作曲のデータを読むことこそするが、別にその楽曲にまつわるエピソードを紹介するわけでもなく、調べてもいないのだろう。「このときはこんなことがあったんですねえ」「この歌がはやっていたときはこういうことしてました」ということを話すだけなら随分楽な仕事だと思う。

邪魔にならない話し方は難しい技術が必要だと思う。ラジオのトーク、しかもNHKとなればその完成度に期待してしまう。普通でいい、ということとはわけが違うのだと感じつつ、それを自分の仕事と置き換えて考えると日々に余裕がないせいもあるかもしれないとも思ってみる。